◇ 曹老公観は西直門内の北側にある。毎年正月一日から半月、縁日が開かれる。遊山の人も多い。ただし建物は荒れ果てて、塀は崩れ、神像も零落し、見るべきものはない。石碑が二基あるが、左は乾隆帝の七言律詩二首が彫られているが、右側のものはなにも彫られていない。後殿には鉄の香炉あり、明万暦辛卯年(1591)造と書かれている。中殿には鉄の香池(線香を立てるもの)があり、これは清崇禎九年(1636)御馬営を管理する太監・孫継武らが作ったとある。
『日下旧聞考』を見ると、
曹老公観は崇元観といい、明の宦官曹化淳が建て、清の乾隆二十三年(1758)に修築された。
と記されている。
壮麗で荘厳であったが、百余年を過ぎ、傾き崩れ、旧観を取り戻すすべはない。化淳が建立した際、将来の修築に備えて、金を観内に埋めたといわれている。
都では「裏に七歩、外に七歩、観が倒れりゃ、観なおる」という俗謡がある。
しかしどこにもそういった証(あかし)はない。
訳注:
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