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燕京歳時記 六月 「氷のご下賜」


都では初伏から立秋までのあいだ、官公庁で氷のご下賜がある。この時期工部よりチケットが配られ、それをもって氷の引き換えに自ら出向く。そのご下賜の氷の多寡は位により異なる。

『帝京景物略』には

明の時代には立夏の日に氷倉が開かれ、文武の大臣に氷のご下賜があった。庶民の氷売りは銅の杯を二枚あわせて鳴らしながら、声高らかに売り歩く。この銅の杯を氷杯という。

とある。

この氷売りの風景は現在も見る事が出来るが、耳に涼しく、平和な響きがある。


訳注:

初伏:夏至のあとの3回目の「庚(かのえ)」の日。4回目の「庚」の日を「中伏」、6回目の「庚」を「末伏」といいこの時期を三伏という。この時期が一年間で一番暑い時期といわれている。 詳しくは「三伏」を参照。


2001/08/01
改稿2011/05/31

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