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燕京歳時記 二月 「清明」


清明は火を使わず、冷たいものを食べる日であり、火を使わず、煙を出してはいけないので「禁煙節」と呼ばれてきた。昔の人はこの日を重んじてきたが、現在ではこの日を祝わず、子供の頭に柳を巻いて、墓参りをして墓の掃除をするだけになっている。貴族の家では、普通の供物以外に、五色の紙でつくった冥土銭や幡や日傘を墓の左手に飾る。墓参りが終わった後には親族が墓の外まで持ち出し、門前ですべてを焼くのである。これは「フートゥリ(佛多、Huturi満州語)」という満州人の習慣である。この「フートゥリ」は一般には行われない。

『析津志(せきしんし)』には、

「遼の時代、もっとも大切な祭りが清明だった。その日、上は宮中から、下は一般の庶民に至るまで、ブランコを設け楽しんだという」

と書かれている。明の時代になってその風習は変わり、ブランコに乗るようなことはなくなった。
また『歳時百問』には

「万物はこのときに生長する。そのためすべてが清浄で明潔であるから、清明という」

とある。
清明の日に柳を頭に戴くのは、唐の高宗が、三月三日に渭水
(いすい)のほとりで禊(みそぎ)を行い、群臣たちに柳の冠を賜り、これを頭に戴けばさそりの毒から免れると言ったことに始まるという。それが今に伝わっているわけである。。


訳注:

『月令広義(げつれいこうぎ)』:明・万暦時代の季節ごとの政、しきたりなどなどを書いた本。編者は馮応京(ひょうおおきょう)。

『析津志(せきしんし)』:『析津志典志(せきしんしてん)』元の時代、当時の北京近辺の地理風土について書かれたもの。熊夢祥(ゆうむしょう)著。散逸してしまい原文は残っておらず、ほかの書物の中でしか見ることができない。

清明は、三月に入れたほうが良いのかもしれませんが、原作では二月に入っていましたので、その通り二月に入れました。


2001/03/03
改稿2012/03/19

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