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蟒袍 ◇ 補服 ◇ 朝帽と頂戴 ◇ 朝珠、朝靴、腰帯 ◇

蟒袍


蟒の刺繍がある長袍です。
長袍は、当時の日常着で、長さがくるぶしぐらいまであります。なかにズボンをはきます。

蟒袍の裾は、海水がわきあがるという模様(海水江牙)になっています。

胸などにある龍のような刺繍ですが、これは蟒で、官位ごとの規定があります。

一品~三品: 九蟒五爪
四品~六品: 八蟒五爪
七品~九品: 五蟒四爪

九蟒五爪.... これは足の指が5本の蟒が全身に9匹刺繍されている(織り込まれている)デザインを言います。
同様に八蟒五爪は足の指が5本の蟒8匹、五蟒四爪は足の指が5本の蟒が5匹です。
公式の席では上に補服を羽織るため残念ながら、海水江牙模様の裾しか見えません...。

はてさて蟒とは..... もともとの意味は大蛇ですが.... デザイン的には龍の亜流といえると思います。

龍袍は皇帝や皇后の衣装で、臣下の着るものは蟒袍だと大雑把に解説されていたりもします。
龍と蟒の違いについては、「龍には足、角があるが、蟒には角がなく、足の指も少ない」などと言われますが、五爪の蟒をみると、龍となんら変りません。
蟒は、大蛇のことだが、デザインでは龍と変らない... と解説しているものも見かけました。
上の蟒袍の蟒は角が見えますが、下の蟒は「これは角?」という微妙なものになっています。
龍に似れど、龍にあらず.... といったところのようです。

ちなみに、皇帝の下賜用の龍袍の龍は、足の指が5本(五爪)ではなく、減らされているそうです。


2012/04/24

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