2003年12月11日 No,27
 
 以前は世界各国の航空会社格付けランキングで「出来るだけ乗ることを避けたい航空会社」なる評価に名を連ねていた中国の各航空会社。ただ現在ではサービス面では日本の航空会社をも上回っているのではないかと感じさせるくらい、全く抵抗なく空の旅を楽しむことが出来ます。自分も中国に来てから何度となく飛行機を利用しましたが、きれいなスッチーも多く、毎回快適に空の旅を楽しんでいました。ちなみにさすが広大な国土を誇る中国、航空会社もたくさんあります。中華国際航空、東方航空、南方航空など大手以外にも四川、上海、山東などほぼ各省にひとつエアラインがある状況です。

  ところで先日北京から帰ってくる際に飛行機の中で非常に面白いことに遭遇しました。乗ったのは海南航空。飛行機に乗ってしまうと離陸前に寝てしまうことが多い自分はこの日も例外でなく、よだれを垂らしながら深い眠りについていました。そして二時間くらいたったでしょうか、スッチーに腕を揺さぶられて目を覚ましました。「あなたは起きなくてはならない。(直訳)」とスッチー。「機内食なら食べないからいいよ。」と自分。「違う。あなたは滅多にないチャンスをつかむ必要がある(直訳)。」「???」。そして始まったのが「オークション」。なんと飛行機の中で格安チケットや記念品の「せり」が始まったのです。システムは機内の最前列でスッチーリーダーが拡声器(!)を使って品物、せり開始の金額をコールして、乗客が挙手しながら行うという乗務員、乗客全員参加型。びっくりしながら見ている日本人の横でさっきのスッチーの解説は続きます。「あのチケットは普通に買ったら倍の値段はするのよ」、「クレジットカードも使えるから安心して」、「あぁー、あの品物なんて私が欲しいくらいだわ」。多分彼女は自分が世界2位の金持ち国の末裔と知って、親切にも解説してくれたのでしょうが、自分は何よりも大盛り上がりで挙手を続ける周りの乗客にあ然。そして確信しました。漢民族にはラテンの血が入っているに違いないと。オークション自体よりもあまりに元気な中国人乗客に驚いた自分なのでした。変な事件ばかり起こる日本を思い、そんな中国人の元気さ、明るさが妙に羨ましくなりました。

 通信27号よろしくお願いします。


BASEBALL in Panzhihua

 12月に入ってさすがの攀枝花も朝晩は気温がぐっと下がり、朝布団から出るのが辛い毎日です。でも日中はまだ半袖で練習するくらいですが。ところで前回通信上で書いたように、先週からこの街でソフトボールの女子ナショナルチームの合宿が行われています。すでにアテネオリンピックの出場権を獲得している彼女たちは、前回オリンピックでアメリカ、日本の後塵を拝してしまった悔しさを胸に猛練習しているようです。女子バレーボールとともにソフトボールは金メダル獲得が至上命令のようで国家体育局もかなり強化に力を入れており、わずかにテレビで見た記憶があるお偉いさんたちが連日この街に激励にやってきております。

 ところで我らがちびっ子野球チームですが、最近自分たちコーチが頭を悩ませているのは選手たちの学校との連携について。通信上でも何度か書いてきたと思いますが、中国ではスポーツをするものはかなり早い段階で体育専門学校に入ってあくまで専門的にプレーするというのが一般的です。さらに批判を覚悟で書いてしまえば、スポーツをする子は勉強が出来ない子という認識が非常に根強く残っています。そしてその現状を何とか打破しようと、自分たちは選手たちを体育学校でなく普通中学で勉強させて、学業とスポーツの両立を図ろうとして来ました。

 しかし選手たちの中学校の校長が交代したことも影響して、現在では学校側の態度が変化してきました。まず前提にあるのは先述した「スポーツ部の子は勉強が出来ない、態度が悪い」というステレオタイプ。実際元気がいい子は多いのですが、それを持って態度が悪いと決め付けるのはあまりにも惜しい子ばかり。ただ校長先生をはじめ先生たちの口から出てくるのは、「やっぱり野球、ソフト部の子どもたちは・・・」という批判的な意見ばかり。先日も先生たちとの会議の席上で「他の生徒はかわいいけど、部活の生徒は言うことを聞かないし、好きになれない」、「部活の生徒がいなかったら私の学級経営もうまく行く」など日本では絶対に聞くことが出来ない批判的な意見ばかり。これ、自分聞き間違いではありません。自分も最初はそう思って何度も同僚に確認したのですが、間違いなくこういう表現でした。

 ショックでした。選手たちからは普段から「先生が自分たちに冷たい」という話を聞いていましたが、まさか本当にこのような認識で先生が選手たちに接しているとは。やはり根底にあるのは彼らのスポーツに対するマイナスのイメージなのでしょう。

 新しい取り組みをするとき、そこに保守的な抵抗勢力がいることは世の常で、そう簡単に変化は求められないものですが、自分は勉強とスポーツの両立はある一定の年齢までは絶対必要だと思うし、特に学歴偏重、そしてスポーツでの教育効果を軽視する中国ではぜひ取り入れるべきものだと確信しています。健全な精神は頭と体の均衡によって宿るものだというのが自分の信念です。子どもたちがしっかり頑張ることは大前提、まわりの大人がもっと人間教育に真剣に取り組んでほしい。それが自分の、発展し続けるこの国への一番の願いです。


SPECIAL THANKS !!

この2年間を通じて多くの皆様から物心両面にわたり多大なるご支援、ご協力を頂きました。特に通信発行後は直接お会いしたことがない方からも様々な場面で応援していただき、この場をかりて改めてお礼申し上げます。そして今回もまた横浜在住の前原進哉様から選手用のTシャツを寄付していただきました。送っていただいたTシャツは全てアディダス社製の新品で、選手たちは大喜び。そして中国人コーチはもっと大喜び・・・。練習の際に着て活用させていただいています。ただ笑ってしまったのは、頂いたTシャツがこの街では買うことが出来ない素晴らしい製品なので、選手が練習中にスライディングをするのを極度に嫌がるようになってしまいました。出来るだけ汚れないように、汚さないように選手たちは着ております。前原様、本当にありがとうございました。


 さて自分の任期も1ヶ月足らずになりましたが、いよいよ自分の後任者が中国にやってきました。赤井剛史さん(写真前列)。大商大堺高校―日本体育大学と高校、大学ともに日本のアマトップレベルで野球をされてきた方で、大学卒業後は今話題のNOMO(野茂)ベースボールクラブでプレーされていたこともあり非常に経験豊富な方です。先日正式な赴任に先立って攀枝花に見学に来られ、選手と一緒に練習に参加しました。現在は北京に戻り中国語の中国国内訓練に参加されており、12月28日に正式に赴任される予定です。

ちなみに見学に来られた際には当然所属先から大歓迎を受けたわけですが、中国の場合、初対面=まずお酒、の公式が根強く、飲みに飲まされたわけですが、彼はもの凄くお酒が強い。これには所属先も大喜びで「こういう奴を待っていた!」と連呼しておりました。これで彼の中国の仕事の成功が約束されたといっても過言ではありません。今後二年間是非とも頑張っていただきたいと思います。

終わりに 

 本文中にも書きましたがいよいよ自分の帰国も間近になってきました。来年1月11日に成田着の予定です。また一年余りにわたってこの通信を発行して来ましたが、予定ではあと二回ほどで完了できればと考えています。最後までよろしくお願いいたします。また後任のコーチですが非常に気持ちの良い、いい男です。今後彼の活動期間中にもまた皆さんにお願いすることも出てくるかもしれません。その際には自分同様にまたご協力いただければと思います。今後本人の同意が取れ次第メールアドレス等もお知らせできればと思っています。選手たちも含め、今後とも攀枝花市野球、ソフトボールチームをよろしくお願いします。

 

お願い

このメールに関してご意見ご感想をどしどしおよせいただければ幸いです。同時に現在我がチームではチームのPR活動に非常に力を入れております。ご迷惑でなければこの記事をお知り合い、ご友人にどんどん転送していただければと思います。重ねてよろしくお願いいたします。

ご意見、ご感想は 煤孫(すすまご)くんまで

 

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