2003年11月15日 No,25 |
最近の中国で有名な日本人。小泉首相、中田英寿、浜崎あゆみ、高倉健、キムタク、松嶋菜々子。小泉さんと健さんは別格にしても、中国人がかなりの割合で彼らのことを日本の有名人として認識しているはずです。しかも浜崎あゆみは中国の清涼飲料のコマーシャルにも出演中でかなりの人気です。でもなぜ彼らの名前がここまで中国で浸透したのか、理由は海賊版ビデオ、DVDの普及によるところが大きいと思います。日本国内の方には想像できないかもしれませんが、中国では、例えば攀枝花のような山奥のでも街のビデオ店で日本の連続テレビドラマを買うことが出来ます。日本では連続ドラマなんて見たことがなかった自分も、中国に来てキムタクがこんなに演技がうまかったことを知った次第です。しかもDVDソフトの値段が恐ろしく安い。映画が1枚約75円、連続ドラマでも600円程度。物価の違いを考慮しても驚くべき安さです。DVDだけでなく書籍や音楽CDなどもコピー商品が広く出回っています。世界中で人気の「ハリーポッター」シリーズだって正式な発売日の半年も前に最新版が出回ってしまうような状態です。WTO加盟で中国当局もこの海賊版取締りに躍起になっているようですが、なかなか成果が上がらないのが現実のようです。この「商品」のコピー化については中国に進出した外国企業もずっと頭を悩ませている問題のようですが、価値観も違い、需要がある以上完全に取り締まるのは難しいのかもしれません。自分としては日本企業の損害に胸を痛めながらも、こんな安価で松嶋菜々子の笑顔に会えるのなら買わない訳にはいきません。ただ海賊版だけあって製造の仕方が多少いい加減である感は否めません。さすがに宇多田ヒカルのCDを買って、加藤登紀子が歌っていた時にはびっくりしました。 通信25号よろしくお願いします。 BASEBALL in Panzhihua 人口の大半を占める漢族のほかにもたくさんの少数民族が生活する中国では、外の世界との交流が極端に少ない環境で、独自の文化を守り生活している人たちがたくさんいます。そんなに大げさではなくても、雲南省の山の中で少数民族の子どもたちをデジカメで撮影した時などは、大人から子どもまでデジカメの写真に大興奮。この街を含めて都市圏で生活する中国人には当たり前のデジカメやビデオカメラも、まだまだ彼らにとっては物珍しい文明品なのでしょう。そしてそんな話題で思い出すのは、昨年カラハリ砂漠の風に吹かれながら天に召されたニカウさんのこと。彼は映画「ブッシュマン」「コイサンマン」などに出演し、未開の地で生活する彼と文明世界との遭遇を描いた作品が大ヒットしたことはご記 憶の方も多いのではないかと思います。
当然うちの選手たちは今までそんなもの見たこともありません。マシンが届いたその日は、とにかく触ってみる。触ったところで何の反応もないのに、関取に出会ったおばさん集団のように触りまくる。そして始めてマシンを動かした日は阪神の優勝が決まった日の大阪のような大騒ぎ・・・。攀枝花野球チーム、文明との遭遇です。 ただコーチの立場から見ても、マシンの購入はバッティングのレベルアップにもの凄く大きな効果があると思われ非常にうれしいことです。現在は中国の中高生でもかなり速い球を投げるピッチャーがたくさんいて、いかにその球を打つかで大会での成績に大きく影響してきます。 また自分がもっとうれしいのはこのマシンを中国側が自分たちでお金を出して買ったということ。実は今まではチームで使っている野球道具の95%は日本からの援助で入れたものでした。自分や前任者が日本国内の友人、知人を通じ送ってもらったものがほとんどです。しかしこの方法はどう考えてもおかしいし、中国側の自助努力の精神が完全に欠落していました。この件に関しては自分も何度も所属先と話し合い、協議してきました。結果、最近やっとその辺の意識が変わってきたと実感します。当たり前のこととはいえ、この点については中国側の努力に最大限の敬意を表したいと思います。 いくら自分が「自分たち(協力隊員)がいなくなった後、野球用具はどうするんだ」と訴えても、「今現実に不足しているわけではないのだから、予算はつけられない。」というのが彼らの本音だったと思いますし、またそれが中国の一般的な考え方ではないかと思います。しかし彼らはそこを一歩踏み込んで、かなり自分の要求を受け入れてくれました。実際グラブも何個か自分たちで購入しましたし、意識は確実に変わってきていると思います。 ただボールもバットも不足しているのに、なぜにマシンをまず購入するのかという疑問は残ります (笑)。ただそこら辺りも非常に中国人らしいなと思います。とにかく自分は中国側の努力に感謝し、選手たちは文明の利器に感動しました。 ニカウさんははじめて見たコーラの瓶を地の果てに捨ててしまいますが、自分たちは文明の利器を活用し、上海での試合の借りを返すべく一層努力していこうと思います。 Special Thanks 今回は自分の母校でもある北海学園大学硬式野球部の監督さん、選手の皆さんに。実は今回、札幌で野球のアジア選手権が行われた際に攀枝花チームのOBが中国代表入りしたのですが、彼が帰国する際に北海学園大学の選手からグラブを寄付してもらい、彼の手荷物としてここまで持ち帰ってきてもらいました。使い古しのグラブとはいえ中国国内で購入できるグラブに比べれば、質的にも数段良いものばかりで本当に感謝しております。特に小林監督にはお忙しい中、色々とお気遣いいただき本当にありがとうございました。ちなみに自分は小林監督には野球面だけでなく、人格形成の上でも非常に大きな影響を受けました。学生時代にはご迷惑ばかりかけましたが、彼に指導していただく機会を得たことは自分の一生の財産だと感じます。全国的には全く無名の大学ですが、選手も取れない、予算もないという中で選手たちも非常に良く頑張っていると思います。今年は秋の神宮大会予選で東北福祉大を延長まで苦しめたのは見事でした。来年度こそは神宮大会出場が果たせことを期待しています。ありがとうございました。 終わりに 口には出さなくても、みんなが心配していた長嶋ジャパン。しかし結果は見事オリンピックの出場権を獲得しました。ただ日本での開催で、全てプロ選手のメンバー構成なら勝って当然なのかもしれませんね。そして中国代表、日本との試合は散々だったようですが、台湾、韓国には大善戦しました。特に台湾戦は1−3の惜敗。世界中探しても台湾とクロスゲームをやれるチームはそうはないと思いますので、確実な進歩が証明されたということなのでしょう。2008年の北京オリンピックに期待です。 さて自分の中国での任期もあと二ヶ月弱となりました。自分の中国語のレベルの低さに愕然とする今日この頃ですが、自分自身、「理不尽なことに耐える」能力には磨きがかかったと思います。赴任した当時に想像した二年後の状況には遠く及ばないのが現状ですが、残りの任期でもうひと頑張りしたいと思います。 |
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