2003年10月27日 No,24
 
 NYのメディアに「でかいイモ顔」なんて言われながらも、終わってみればシーズン通してフル出場だった松井がメジャー1年目をワールドシリーズ出場という快挙で締めくくり、日本国内では我らが阪神タイガースは星野監督の勇退決定でこの先また20年出ることが出来ないであろう日本シリーズで奮闘中、韓国プロ野球もシーズンを終え、世界中の野球選手たちがサイドビジネスに精を出す季節がやってきました。しかしアジア各国の野球関係者にとってはもうひとつ重大なイベントが残っています。そう、アテネオリンピックのアジア予選が今月末から札幌ドームで開催されます。日本は長嶋監督の下、全てプロ選手という構成でこのガチンコ勝負に臨むようですが、なにせ韓国も台湾もプロ選手ばかりで、しかも本当の一発勝負、長嶋さんの栄光の人生に汚点を残す結果にならないとも限りません。松坂に城島に松井稼頭男まで連れてきて勝てなかったらさすがにショックも大きいでしょう。そして中国にとっても正念場です。国民が野球の基本的なルールも知らないのにプロリーグまで強引に立ち上げた、なりふり構わぬ強化策が、どこまで成果を挙げているのか審判が下されます。多分まともにやったら勝負にならないとは思いますが、自分の希望としては「中国もなかなかやるじゃないか」と他の国に思わせるような試合ぶりをして欲しいものです。簡単に3試合ともコールドで負けてきたらうちの選手たちの希望にすらなりえません。ススキノの誘惑に負けず北京オリンピックへのステップになるようなガッツィーな戦いをしてきてほしいものです。通信24号今回もよろしくお願いします。

BASEBALL in Panzhihua上海レポートNo.2

前回の続きの上海レポート。まず全試合の結果は次のとおり。

予選リーグ 攀枝花  2:5  河南新郷
予選リーグ 攀枝花  0:11  無錫
予選リーグ 攀枝花  2:9  深せん
予選リーグ 攀枝花  2:15  北京
9、10位決定戦 攀枝花  11:0  杭州

 最後の順位決定戦は別にしてよくもこれだけ点を取られたものです。でも自分ではよくこの点差で収まったものだというのが実感です。実際どのチームも、うちのチームの目を被いたくなるような状況に同情してくれたのか試合途中からはレギュラーメンバーを下げ、控えの選手を使ってくれたのにこれだけ点差が開いたのですから。ここで技術面をとやかく言っても仕方がないですがとにかく全ての面で相手チームが上。ピッチャー、内外野の守備、バッティング、走塁、戦術理解度。そして前回も書きましたがトルシエもよく言っていた「戦う気持ち」の欠如。まさに「完敗」。

 結局この大会は北京が優勝したのですがさすが伝統あるチームだけあって、今回の北京チームの充実度はかなりのもので、もし彼らが北北海道の甲子園予選に参加すればひょっとしたら代表になってしまうのではないかという実力でした。大会全般を見ても中国のこの年代の選手たちが間違いなくレベルアップしていることを感じました。ただ問題は、せっかくこの年代で一所懸命選手を育ててもその上のカテゴリーで選手の受け皿が非常に少ないこと。日本のように高校野球という指導者も充実し、競争も激しい環境を中国の子どもたちにも提供できれば中国野球は20年で日本に追いつくことが出来ると感じます。日本のプロ球団と提携を通じて高校生年代の選手たちの強化に乗り出すプランが進行中のようですが、何とかこの才能豊かな選手たちに良いプレー環境を与えることが出来ないかと願っています。

 そして再びうちのお子様たちの話に戻りますが、彼らはそんな大それた希望を持つ前にやることがたくさんあります。朝自分で起きられるようなって、練習に遅れないようにし、すぐ泣くクセを何とかする、まずそこからです。要するに頭のなかも身体もまだまだ「子ども」なんです。だから大きな大会に行くと緊張して普段の実力の半分も発揮できない。焦る必要はないけど、もっといろんな面で頑張らなくちゃいけないんだよお前たち・・・・。

 ただ彼らに頑張ってもらうためには自分ら大人もいろいろとやらなくてはいけません。実際以前はそんなには感じなかった他のチームとの環境面での差を今回は痛切に感じました。道具、グランド、練習時間、試合機会、全てにおいて劣っています。四川省の田舎で経済規模もこれだけ小さければ仕方がない面もありますが、もし本当に野球チームを強くしていきたいのならコーチたちを含めみんなが思いを新たに努力していかなくてはならないと思います。多くの障害はあると思いますが、苦労が大きければ大きいほど目標を達成した時の感動も大きいものです。自分も帰国後も出来る限りのことは協力したいと考えています。
通信上でも選手たちの前でも現チームについてかなりきついことを言ってきた自分ですが、実はかなりこの子たちの将来には自信を持っています。そんなこと選手たちの前ではおくびにも出しませんが、今のまま練習を続けていれば3年後には北京とクロスゲームを演じられるレベルには行くと感じています。大会中も他のチームのプレーを見て確かにうまいとは思いましたが、むしろ練習時間もあって環境もあってこの程度かという思いが頭から離れませんでした。上海から帰ってきてから毎日泣きながら練習している選手たちを見て更にその思いを強くしています。自分が日本に帰国後、全国大会優勝という朗報を聞けることを願って、明日からまた頑張っていきたいと思います。


週末KIDS情報

 しばらくご無沙汰だった週末キッズの近況を少し。ご存じない方のために補足しておくとチームでは広く野球人口の拡大普及を図る目的から毎週末市内の幼稚園、小学校に通う子どもたちに野球に触れ合う機会を提供しています。

一番小さい子は4歳(!)、どれだけ意味があるかは別にしてみんな楽しそうにやっています。自分は最近何かと中学生チームの方が忙しくてしばらくこの子達の練習に顔を出していなかったのですが、先週末久しぶりに覗いてみるとそこはまさに動物園状態。顔にボールを当てて泣き出す子あり、一本のバットを取りあってケンカを始める子たち、はたまたアリの巣の研究に精を出す子などはっきりいってバラバラ。

担当するコーチの努力で人数が増えたことは喜ばしいのですが、その分、目を配るのも大変。「子ども放牧中」と看板を立てたくなる感じです。この中でひとりでも多くの子が長く野球を続け、素晴らしい選手になってくれることを祈るばかりです。

終わりに 

 冒頭に書きましたがオリンピック予選、中国チームにもぜひ頑張ってほしいものですが、うちのチームのOBも今回のナショナルチーム入りしています。張洪波という内野手です。ゲームに出るかどうかはわからないと言っておりましたが、出場した際は皆さんのご声援をお願いいたします。台湾は政府がチャーター機で大応援団を札幌に送り込むようですし、韓国も選手に出場給まで出して今回の大会に臨むようです。日本も出来るだけ長嶋監督が積極的に動く必要のない展開に持ち込み、オリンピックの出場権を獲得してほしいものです。北海道在住の方、まだまだチケット購入可能のようです。ぜひ札幌ドームで日本を、そしてちょっとだけ中国代表チームの応援をしてみてはいかがでしょうか。

 

お願い

このメールに関してご意見ご感想をどしどしおよせいただければ幸いです。同時に現在我がチームではチームのPR活動に非常に力を入れております。ご迷惑でなければこの記事をお知り合い、ご友人にどんどん転送していただければと思います。重ねてよろしくお願いいたします。

ご意見、ご感想は 煤孫(すすまご)くんまで

 

<<Back<<

TOP

>>Next>>