2003年5月15日 No,15
 
中国国内ではSARSの影響でほとんどのスポーツイベントが中止、または延期になっています。サッカー、バスケットから2年目を迎えたプロ野球までほぼ例外なくシーズン中断。選手たちも大変なようで合宿所からほとんど外に出られない状況のようです。北京のプロ野球チームの選手も市郊外のトレーニング施設で缶詰状態。まあSARSの状況を考えれば仕方ないのでしょう。ただ日本が同じ状況に陥ったとすると果たして日本人は耐えられるでしょうか。SARSに対する恐怖は別にしてもスポーツイベントが全く行われないという状況に。プロ野球のペナントレースが行われなかったら新橋の焼き鳥屋でお父さんは何を話題に飲めばいいのか、Jリーグがなかったら鹿嶋市民は土曜日家で大人しくしていられるのだろうか、高校野球が中止になったら高知県民は夏の昼下がりをどう過ごすのだろうか。日本ではまだまだスポーツ文化根付いていないなんていう人もいますが日本人にとってスポーツはかなり生活に密着したものではあるはずです。その点中国でのスポーツはまだまだ国民的娯楽とは言いがたい。国際試合で日本を打ち負かすことには興味があっても生活の中に当たり前にあるものではない。中国のプロスポーツは野球も含めまだまだよちよち歩きの状態、今回のことが中国スポーツにとって悪い方向に行かないことを願って。あ、でもマージャンが出来なくなったら中国人はつらいでしょう。通信15号よろしくお願いします。

BASEBALL in Panzhihua

何度も書いているように今の時期攀枝花は一年で一番暑い時期。そして市場ではスイカが店頭に並ぶようになりました。しかし問題はこの季節になると果物といったらスイカしか売っていない!マンゴーが片隅にちょっと置いてあるだけであとは全てスイカ。日本で生活していると果物の旬の時期なんてほとんど意識することはありませんがここでは嫌がらせのように夏にはスイカしか売っていません。確かに味は美味しいのですが・・・。

 さてチームの方はといえば今週は少し悲しい出来事が。実は選手ふたりを退部させることになりました。理由は学校内での素行不良。彼らふたりはもともと勉強が苦手で授業中私語も多く先生からは何度も注意を受けていたのですが、最近それがあまりにも目に余るものになり学校側から退学処分を下されました。授業中の態度以外にもその他いくつか問題もあり今回の処分になりました。中学生といえどもかなり厳しく学校内での問題を処理する中国にあっては退学=退部という最高にきびしい処分も仕方がないのかもしれません。

ただ学校や周りのコーチの対応にも非常に違和感を覚えました。中国では特に学校では、その枠から少しでも外れた子どもに対しては、ものすごく簡単に問題児のレッテルを貼ってしまい、ものすごく簡単に切り捨ててしまうことがあるように思えます。今回のふたりに対しても早くから「あいつらはダメだ、きっと問題を起こすぞ」と言うだけで、何とかしてやろうという気持ちが全く見受けられなかった。「ダメな奴は辞めさせればいいんだ」、「学校で態度が悪い奴に野球なんかやる資格がない」などという声が多くの先生、コーチから聞かれました。しかし学校での態度ですべてを決められてしまったら日本の高校野球児の半分は問題児です(笑)。きっと中国の子どもだって自信のあること、興味のある事でなら一生懸命頑張れるはずだし、しっかり成長してくれるはず。実際彼らもグランドでは非常に一生懸命頑張る子たちでした。 

 教育やスポーツに対する価値観も他の国とは全く違うため自分のような考えはなかなか受け入れてもらえないかもしれません。ただ時間がかかるにしても、野球、スポーツを通じてでも、たくさんの事を子どもたちに感じてもらうことができると信じています。毎週土曜の夜に「スクールウォーズ」を観て育った自分としては、勝敗のみを重視する周りの中国人のスポーツ観をぜひとも覆したいと考えています。

「スポーツは教育ではない。しかし教育にはなりえる」。自分が中国の子どもたちを教育できるかどうかは別にしても、信念だけは曲げずに頑張っていきたいと思います。(写真と本文は関係ありません)


日本行狂騒曲

さてさてどんどん日本に行ける可能性が低くなってきた今日この頃。毎日日本のインターネットをチェックしているのですが、やはり今日の東アジアサッカー選手権中止の決定はうちのチームの遠征にとっても非常に痛い。ナショナルチームでさえ日本に行けないのに・・・、非常に微妙な状況になってきました。ただまだ3ヶ月弱あるので今できる準備は続けていきます。ところでこの日本行きについては今週選手たちにも通知したのですが思わぬ効果が!通知する際に日本に行ける選手は練習も勉強も一生懸命やっている人を連れて行くと伝えたんです。

そしたら次の日から選手たちの態度が一変。練習中の姿勢はもとより、誰にも言われていないのにゴミを拾ったり、全くやらなかった宿題を完璧に仕上げるようになったりと担任の先生も驚く変わり様。昨日グランドの環境整備を行った際にも写真のようにみんな真剣。これならもしこの遠征がキャンセルになっても最後まで選手には伝えないでこの良い傾向を続けさせようかなと考えています。でもわかったら怒るだろうなあいつら・・・。

SARS Attack!

SARSに関しては考えれば考えるほど気が重くなります・・・。しかし日本国内でのシビアな報道とは対照的に中国国内では明るい状況も見受けられるようになったのも事実です。北京では外国人学校などは通常通りの授業を開始しているようですし、データの信用度は別にしても感染者数も減ってきているようです。ただこの広大な中国ではベトナムのようには簡単に封じ込めはできないでしょうし、予断を許さない状況がしばらくは続くのでしょう。ところで日本のニュースなどでも「中国国内では都市部から西部農村地域への感染拡大が懸念されます」なんて繰り返されていますが、西部農村地域とはすなわち四川省のことです。ご存知の方もいるかと思いますが今四川省では農繁期を迎え、国内各地から出稼ぎ労働者が帰ってきています。大丈夫なんでしょうか攀枝花は。行政の方は過剰とも思える対応で水際での感染食い止めを行っています。ちなみに前回周さんが雲南省麗江に向かって出発したと書いたと思うのですが、結局彼は麗江には行けなかったのです。省境で軍と衛生局が検問をしていて四川省から雲南省に向かう車両はほぼ例外なく追い返されたそうです。しかも周さんの車には市の副市長が乗っていたにもかかわらずです。北京の隔離の件もそうですがこんなこと日本でやったら大変です。暴動に発展するかもしれません。ただ他の国では絶対にできない厳しい対応で中国政府も対応に取り組んでいる現在です。身から出たさびという感もしないではないですが早く平和な日々が来ることを祈っています。


終わりに 

先日ビザの許可状況や必要書類について重慶日本領事館に問い合わせをしました。領事館の方としても今の段階では何ともいえないのでまず書類を上げてくださいとのことでした。ところでその電話の際、対応に出た方が中国人スタッフの方だったんです。彼女の日本語はものすごく上手だったのですがどうしても細かい点やニュアンスが伝わらない。そこで自分は日本人スタッフの方はいないのかと尋ねるとビザ担当の責任者は彼女だとのこと。「日本領事館なんだから日本人が対応してくれよ」そんな自分の思いを電話越しに感じ取ったのでしょう、彼女がひと言、「でも普通日本人は日本のビザの取得の相談に来ませんからねぇ(笑)」。そうだった、そのとおり!その後はふたりで大笑いしてしまいました。 

おバカな日本人にきちんと対応してくれてどうもありがとうございました。

 

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