2003年5月1日 No,14
 
中国に来た当時は不思議で仕方なかったことも、一年経ってしまうとそれが日常になってしまっている事って多分たくさんあるはず。毎日お昼の三時間の休憩、郵便局での信じられないほどの服務態度の悪さ、成人男性が意味もなく伸ばす小指のつめ、自分宛のはがきを日本語辞書片手に勝手に解読しようとする同僚などなど。しかし今では昼の休憩なしには耐えられない体になり、彼らに手紙を投げつけて投函する術も覚え、必要以上に自分が人前でつめを切って意識改革を促すこともできるようになり、「日本人のプライバシーを保護しろ!!」と書いた紙を事務所に張ることもできるようになりました。結局は自分自身がここの生活に慣れたということなんでしょう。ただ唯一慣れないものは「お酒」。全くの下戸の自分にとっては度数40度以上が当たり前という中国のお酒は脅威そのもの。そして「酒が飲めねー奴は男じゃねぇ」という周りの目ははっきり言って不愉快極まりない。どう考えたって俺にはスプライトのほうが美味しいんだよ!酒が飲めない奴には人権がないのか!

わざわざ通信に書く話題でもないとは思いますがさっきまでトイレを抱擁していたわたくし、改めて中国の酒文化に怒り心頭なんです。中国酒の匂いとともに通信14号お送りします。今回もよろしくお願いします。


BASEBALL in Panzhihua

早く書いておかないと永遠に書くことができなくなりそうなので今回書くことにしました。いきなりですが私ども攀枝花青少年野球チームではこの夏に日本遠征を企画しております。

 事の流れを簡単に。発端は周さんの得意の思いつきからでした。「しばらくチームで外国に遠征に行っていないので何とか機会を見つけてくれないか」と。ただ通信をずっと読んでくれている皆様ならすぐ思うはず、お金はどうすんの?当然自分も聞き返しました。周さん曰く、
1) 市政府(市役所)で人事異動があり野球に理解のある人が重要ポストに就いた。
2) 市の国際交流に使えるお金が宙に浮いている。
3) 周さんのお友達で会社を経営している人から資金援助が見込める。
こんな背景から今ほどのチャンスはもう2度とないかもしれないとのこと。最初は半信半疑だった自分も「絶対大丈夫!!」と繰り返す周さんに根負けしコンタクトを取ってみることにしました。結果多くの人にご尽力頂き、8月に北海道に遠征できる運びになりました。現在は正式な文書も送付していただき、こちらの環境(パスポート、ビザ、資金獲得)さえ整えば間違いなく実現できるというところまでこぎつけました。

 しかしいざ実現に向けて動き出してみるとこれが大変。何が大変って人選、これが一番厄介。中国では特に外国などに使節団を派遣する場合には選手以外に団長や副団長をはじめ多くの「大人」が付いてゆくのが一般的。もっと言えば金を出す機関からは必ずひとりは使節団に組み込まなくてはいけない。今回を例にとるとこの遠征に関して資金を拠出するだろう機関は、市政府、国際交流関係管理部、市教育局、市体育局、選手の通う中学校、支援企業2社、ざっと書き出しても5機関2社。市政府からは2,3人は行く予定なのでこれだけで少なくても10人。これに自分らコーチが加わるわけですから18人の選手に対して十数人の大人が付いて行くことになるんです。しかも基本的にはみんな行きたいわけだから「あそこが2人行くならうちからも2人連れてけ」てな感じでその調整が本当に大変。またコーチも全員行けるわけではないので普段から仲の悪いうちのコーチ陣が揉めるのは必至。この辺のことは「日本行き狂騒曲」とでも銘打って次回から連載していきたいと思います。

 そしてもっと大変なことはそう、SARS問題。深刻です、はっきり言って・・・。現状では6月までの中国と日本の交流行事はほとんどが中止または延期に追い込まれています。遠征予定は8月なのですがその時までにSARSが沈静化している保証はどこにもないし見通しもありません。その前段階で日本側からビザが発給されるかどうかもわかりません。よりによってこんな時期にというのが本音ですがこればかりはどうしようもありません。ただ下にも書きましたが中国政府も恐ろしいほど対策に本気になっています。そこに期待して祈るばかりです。

 中国国内の日本人の話を総合すると、8月の時点で現状よりひどくなっていることはないだろう、しかし感染者がゼロということもかなり考えにくいだろうと。そうなった場合どの段階で日本側が判断するのか、日本国内の世論や試合相手のチームの反応はどうなのかなど心配は尽きません。

「日本行き狂騒曲」の連載が8月まで続けられることを願いながら準備だけは続けていこうと思います。皆さんも1日1回SARS騒動の終息を祈っていただければと思います。まさに神のみぞ知るという状況です。


SARS Attack!

新撰組が今まさに活躍を始めようとしていた幕末、江戸の町ではコレラとはしかが大流行してかなりの数の犠牲者が出ました。当時コレラやはしかに対して免疫を持っている日本人は少なく、突然の開国が大量の感染者を出す要因になったわけですが21世紀の今日でもそんなことが身近で起きるのだと驚かされている今回のSARSの流行。香港、広東では流行のピークは過ぎたらしいですが北京の状態は深刻のようです。感染が疑われる人への隔離もかなり広範囲で行われているようですし、北京市民は不安な日々を過ごしていることと思います。

 それにしても中国政府が情報を公開してからの中国人の急変には驚かされます。最近すごいのは屋内外を問わず街中で行われる消毒作業。自分も体育局から消毒剤を支給され自宅を消毒するように指示されました。また予防薬として漢方も配られました。そのほか酢を飲むと肺炎予防に効果があると信じられておりスーパーではものすごい売れ行きです。また幹線道路での検温、列車を止めての健康状態チェックなどなど日本じゃ絶対出来ない大規模な対応がとられています。ただ一番多いのはデマが多いこと。非常事態下で仕方がない面もありますがそれにしても毎日誰が流布しているのかいろんな未確認情報が流れます。でも肝心なことは冷静になって自分の健康管理だけはしっかりやること。中国政府が真剣になった今、彼らがこの危機を乗り越えてくれることを祈るばかりです。ホント8月までには何とかしてくれ・・・・。


周さんのひとり言

海外の方もご存知かもしれませんが中国では肺炎の影響でGW連休も例年の1週間から4日程度に短縮。もちろん我が体育局も同様で自分の場合は結局休みなし通常練習ということになりました。しかしこの連休に実家のある麗江に帰るのは周さんの譲れない年中行事。まさか今年は行かないだろうという自分の予想に反して彼は今朝、自分の冷ややかな視線に見送られて出発しました。

「俺が麗江で肺炎がはやっているかどうか良く見てくるから!」

うそつけ、実家に帰りたいだけだろ。さすがに無理があるぜその言い訳・・・・。


選手近況

こ最近通信上でも愉快な大人たちのことばかり書いてしまい、選手の情報が少なくなっていましたがみんな毎日元気に頑張っております。ところで去年の夏まで主力だった選手たち(15、6歳)は高校入試が間近に迫ってきました。ぜひとも野球で鍛えた集中力で頑張って欲しいものです。また下の学年の選手たちも今日から中間テストがスタート。そのため練習は3日間お休み。ところでこのテストには毎回自分も顔を出すのですが今回はあまりテスト会場に入るなとのご指示。なぜかって、そりゃ自分がいると選手たちがあまりカンニングできないから。体育クラスはやっぱり勉強面では劣るのでその辺は大目に見ようということらしい。このご指示担任の先生から出たものです。ただし中国では基本的にカンニングはものすごく厳罰に処されます。あくまで攀枝花二中体育クラスでのお話。まあしかし勉強もできて野球もすごいなんて奴はめったにいるものではありません。


終わりに 

世界各国で中国バッシングが起きるほどのSARSの猛威もまだまだ四川でははるか遠い世界の出来事。上からの指導で予防対策はとっていますが街中の様子も概ね普段と変わりません。ただ今回の騒動でわたくしうがい手洗いの習慣が付きました。こんなにこまめに手洗いうがいをしているのは小学校の風邪予防週間以来。部屋の中も自分でも驚くほど清潔感溢れる状態を保っております。このまま異常な潔癖症になってしまったらどうしようと心配しています。皆さんも健康管理には是非ご注意ください。

 

お願い

このメールに関してご意見ご感想をどしどしおよせいただければ幸いです。同時に現在我がチームではチームのPR活動に非常に力を入れております。ご迷惑でなければこの記事をお知り合い、ご友人にどんどん転送していただければと思います。重ねてよろしくお願いいたします。

ご意見、ご感想は 煤孫(すすまご)くんまで

 

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