2003年4月10日 No,12
 
「日本人だと思ってなめんなよ!!」悪態の限りをついてタクシーを降りたのが列車の発車する20分前、そこから駅まで5キロの道のりを走りに走っても、列車は自分をあざ笑うかのよう目前で出発。

これはこの間出張のため駅に向かおうとしていたときの出来事。今この街では道路、橋など公共機関の改修工事がいたるところで行われ、駅に向かう道も10キロあまりに渡って大工事の真っ最中。ただ日本だったら道路工事の際は時間差で片側ずつ車を通したり、交通整理をしたりして極力渋滞が起こらないようにするでしょう。しかしここはなんってたって中国。道が狭くても追い越しはするわ、パッシングするわでやりたい放題。だから対向車線でも同じことしていたらいつかは進めなくなるわけでそこからは大渋滞。タクシーに乗っていた自分もあまりの渋滞の距離の長さに心配になり運転手に確認、「ねえ、列車の時間に間に合うと思う?」しかし彼は「大丈夫!」の一点張り。しかも日本人ってばれたもんだから第二次大戦のことに始まり、現在のイラク戦争の日本政府の態度についてまで大批評大会。そして列車発車の30分前になって突然奴は「無理だ、お前もう間に合わないよ」と。「じゃあどうすりゃいいんだよ」と自分。そしたら奴は一言「走れ」。チキショー、おめーが大丈夫だって言うからのん気に小泉さんのおじいさんのことまで話しちまったんじゃないかよ、間に合わないってわかっていたらもっと早く走ったのに。しかも奴はまだ5キロもあるのに駅までの料金全額払えとまで言いやがるし、まさに踏んだり蹴ったり。そして最後には「日中友好の使者」である自分の立場も忘れ冒頭のセリフをはくに至ったのでした。これも素敵な国際交流の一面です。通信12号、今回もよろしく。


BASEBALL in Panzhihua

皆さんご存知の周さんのほかにもチームには4人の中国人コーチがいます。そして自分と周さんを含めた6人で野球とソフトボールを分担して指導しています。しかしみんな不思議なほど性格も違い個性豊か。しかし大きな問題はみんな仲が悪いこと・・。しかも結構深刻。で、今回はうちのチームの「大人」の複雑な人間関係をご紹介。

楽開顔
(ロカイイェン)
野球コーチ。「開く顔」と書くその名もすごいが中身も非常にユニーク。基本的に面倒くさいことが大嫌い。そして気分屋。仕事以外ではみんなとの付き合いが少ない。妻、娘。
以下楽(がく)さん。
趙 勇
(ザオヨン)
  
野球コーチ。ただいま日本語猛勉強中。自分に対してもいろいろヘルプしてくれるが、たまにうっとうしいことがある。「頑張れ」という意味の日本語が「うざい」だと勘違いしており、試合中、選手にも「うざい、うざい!」と連呼してしまう。コーチの中で唯一競技経験なし。バツイチ。
以下ザオヨン。
文川
(ウェンチュワン)
ソフト監督。いい人なんだけど、他人を批評するのが大好き。そしてお金も大好き。ただ人との付き合い、接待能力には一番長けている。競技経験も豊富で指導力は高い。バツイチ。
以下文さん。
劉 波
(リュウボー)
今年からコーチ陣に参加。国内トップレベルでの野球経験あり。最年少ということもあり気を使うことも多い。自分とは非常に仲良し。最近失恋したばかりで現在運気下降中。未婚。
以下劉さん。
   
さあ図を見ながら読んで欲しいのですが、まず同い年の三人、この関係が非常にシビア。楽さんと文さんは競技経験のないザオヨンを軽蔑しているところがある。でも文さんに対しては楽さんもかなり反感を持っているため、結局3人ともバラバラ。そして肝心なのは周さんとの関係。周さんは当然みんな同じように対応するのですが、特にザオヨンがかわいいらしい。文さんはそのことが気に入らないようで自分にも愚痴を重ねる。文さんの細かすぎる性格、楽さんの仕事へのやる気のなさ、ザオヨンのうっとうしさ。これが軽快にケミストリーを起こし3人の距離をどんどん遠くする。そしてもうひとり劉さんはと言えば子どもの頃、文さんが彼のコーチだったということもあり文さんには頭が上がらない。そして今ではすっかり文派閥。

自分や周さんは彼らの関係にいつも頭を悩ませているのですが、もう何年もこんな感じなので今更どうしようもできないのが現状。「もうどうしようもないんだあいつらは・・・」とは周さんの弁。まあ殴り合いのケンカをしたりするわけじゃないので傍から見ている自分としてはいささか愉快でもあるのですが、もうみんな大人なんだからねぇ・・・。

いずれにしても自分に対してはみんな非常に良くしてくれます。日本人に対して依然として複雑な感情が残る中国ではこれは本当に感謝すべきこと。

みんなすごく力のある人なんだから力を合わせればもっと良い野球、ソフトボールチームが作れるはずです。ホントそんな日が来ることを期待しています。それにしても職場内の複雑な人間関係というのは万国共通なんですね。


周さんのひとり言

元気がとりえの周さん。しかし今年に入ってからお腹が痛むことが多かった。原因は胆石。中国では水環境があまりよくないので石持ち人口が非常に多いようですが、それにしても最近あまりにもお腹が痛むことが多かった周さんはついに手術に踏み切りました。まあ胆石摘出の手術ですから術後も順調で、もうすっかり元気なのですが、なかなか退院したがらない彼。だってもうほんとに元気なんです。今日も昼に一緒にごはんを食べたのですが三杯目のご飯をかっこみながら周さんが一言、

「だって今退院したら仕事が多いんだもん」

あごにご飯粒つけながらそんなこと言うなよオヤジ・・。もっともっと元気になってくれ。


終わりに 

今回は前号を発行してから随分時間が経ってしまいました。特に理由はありません、だらけていただけです。次回からはまた頑張って週刊ペースで書きたいと思います。ちなみに肺炎になんてかかっていないのであしからず。それにしても国外では中国を中心とした流行肺炎についての報道がすごいようですね。自分も注意するのは当然ですがたとえ1000人感染していてもここにはまだ13億人います。政府の報道管制があるにしても中国国内は落ち着いています。それよりもこれに関連して他の国で関係のない中国人が批判されたり、差別されたりすることは非常に耐えがたいことです。特に日本のメディアには落ち着いた報道を期待しています。

 

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