2003年1月29日 No,5
 
いきなりですが貴乃花が引退しました。予想されていたこととはいえなんだかとても寂しい気持ちになってしまいました。野球やサッカーなどと違って相撲ゆえの、単純なスポーツ選手とは違う苦しみしがらみもあったはずです。若すぎる引退ですが今後は後進の指導に頑張ってもらいたいと思います。ところでそんな大相撲では、最近また外国籍の関取が増えているようです。あの特殊な世界で、言葉もわからない中で成功するということは非常に大変なことだと思います。自分はここでただ野球を教えるということだけでも、日本にいるときの何倍もエネルギーを必要とするのに、選手として文化の違う国で成功することは想像を絶する苦労の上で成し遂げられるものだと感じます。日本のスポーツ界では全般的に外国籍の選手に対して尊敬する気持ちが足りないと常々感じますが、松井がNYで成功するのを願うように、日本国内でも外国籍選手をもっと評価する機運が盛り上がってくれることを願います。そして頑張れ、横綱朝青龍。

通信5号よろしくお願いします。


BASEBALL in Panzhihua

今月の11日から選手たちの学校が冬休みに入り、今は朝から晩まで練習する毎日。午前中は9時から12時まで、午後は3時から6時半までと毎日ハードなスケジュール。しかもこの時期の練習はフィジカルを鍛える練習が多いから、走る量も多くお子様気分が抜けない選手たちにとっては過酷な毎日。前回紹介したホージュンソンなんて毎日眼鏡を曇らせながら奮闘しています。いま自分が担当している選手たちは半分以上が野球を始めて1年足らず、しかも今まではここまで真剣に練習していなかったから毎日足が痛い、腰が痛いと訴える選手が続出。

 そこでいま自分がちょっと困っているのが子どもたちの親御さんの対応について。選手たちが疲れているのは自分もきちんと把握しているんです。それを考慮して練習メニューや休日の計画も立てているわけで、そんな中で練習を休む選手が非常に多い。チームではもし何かの理由で練習を休む場合は練習開始前に自分に必ず電話することになっているのですが、最近はお母さんが電話をしてくるケースがすごく多い。今日は顔色が良くないからとか、休みが少なくて大変だから今日は休ませたいなどと言って親御さんが判断して子どもを休ませるケースが非常に多く目に付きます。親御さんから直接電話が来ると自分の中国語が拙いのもあるし、なかなか強く言えません。自分としては彼らがもう中学生ということもありますし、物事をできるだけ自分で判断して欲しいし、学校生活以外の機会を通じてこういう能力を高めて欲しいという願いを持っています。

ご存知のとおり中国は一人っ子政策の為選手たちは例外なく一人っ子。だから当然お父さんもお母さんも自分の子どもがかわいくてどうしようもないという様子。これは前任者も言っていたことなんですが、身長が180cm近い選手でもお母さんと普通に手をつないで帰って行ったりするし、ひどい子なんかお母さんの膝の上に座って話をしている子もいる。もう14,5歳の子ですらですよ!これには赴任当初自分は大変驚かされました。

ただここは中国、日本とは文化も違うし価値観も違う、でもせっかく子どもが頑張ろうとしているときに過剰な干渉は良い効果が生まれないのではないかと思います。ただ自分はまだ結婚もしていないし、子を持つ親の気持ちなど想像もできないですが皆さんはどうお考えになりますか?やっぱりこれは難しい問題なのでしょうね。

あーやっぱり星一徹みたいな親は世界中で絶滅の危機なんでしょうか・・・・。


ハリキリボーイ

自分はJICA(国際協力事業団)の青年海外協力隊員としてこの街で野球指導しているわけですが、中国では自分の他にもうひとり同じ立場で野球普及に携わっている人がいます。それが写真の白根健一郎さん。彼は河南省新郷市というところで活動を行っているのですが、今ちょうど彼の指導する学校が冬休みということでこの二週間この街に来て自分のチームの練習を手伝ってくれていました。彼のチームは去年の九月に立ち上げたばかりで本当の意味でイチからのスタート。道具もない、グランドもない、まわりの理解もないという、うちのチームを取り巻く環境よりも数倍厳しい条件の中で頑張っています。で、自分らの間では彼のニックネームはハリキリボーイ。とにかくいつも前向きで張り切っている。朝でも元気ハツラツ。何事にも非常に前向きに取り組む姿には自分も非常に勉強させられました。そんな彼だからこの街に来てもうちの選手たちとすぐ打ち解けて、しまいにはうちの選手に変な日本語まで教える始末。昨日の練習終了後、選手たちが自分に向かって「お疲レーション!!」って大声で叫んで帰っていきました。おいおい白根さん、変なダジャレ教えてくれるなよ・・・。

周さん の 独り言

最近仕事が忙しすぎてグランドにもほとんど来られない周さん。でも春節(中国のお正月、官庁、企業も一週間の休み)くらいは休めると思っていたのに、そこにも仕事が入って実家(車で7時間)にも帰ることができない見通し。自分も周さんの実家に一緒に遊びに行く予定だったからちょっと困っていたところ、さっき周さんから電話があって先にバスで行っていろとの指示。

自分「でも周さん仕事でしょう、周さん来ないんだったら俺も行かないよ。」

周さん「大丈夫安心しろ、元旦の夜中に俺逃げるから!」

仕事逃げて大丈夫かよ周さん・・・・。まあここは中国何でもありか・・・。


終わりに 

中国では今年は2月1日から7日までが正月休み。上にも書きましたが自分は周さんの実家(雲南省麗江)に行ってリフレッシュしてきます。麗江は世界遺産に指定されている少数民族の街並みが残るとても美しい街。以前にも何回か行っていますが行くたびに新しい発見があって今回も非常に楽しみです。

他の国とは違って中国ではついに新年を迎えるといった雰囲気になり、日本人である自分もやっと2003年の幕開けを感じています。うちの選手たちもしばらく休みもなかったので、昨日はうれしそうに、そして逃げるように帰って行きました。彼らも今年の夏には初めての大きな大会があります。一層彼らが飛躍してくれることを祈って。それでは楽しんできます。

 

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