2003年1月7日 No,3
 

謹賀新年

世界で一番野球が強い国ってどこなんでしょうか。その国のプロのトップ20人を集めてゲームをやったらやはり強いのはアメリカでしょうか。ただ野球というスポーツの性格上、いくらすごい投手が10人いても同時にゲームに出られるのは1人だけなわけで、逆に言えばどんな野球弱小国でもいい投手が1人いればアメリカやキューバにだって互角に戦える可能性があります。オリンピックなどが限りなくトーナメント方式に近い短期決戦の形を採用しているのだから、国際的に通用する選手が数人いればどの国にもチャンスが出てくる。日本がたとえイチローや松井なんかが出場したとしても彼らが1試合に打席に立てるのは4,5回、他のスポーツに比べて結果に対して偶然が占める割合が非常に大きいこのスポーツでは何が起きるかわからない。今年2003年11月にはアテネオリンピックのアジア最終予選が北海道で行われます。北京オリンピックで赤っ恥かかないためにも今回の予選の内容は非常に重要。残された10ヶ月いかに強化できるかが重要です。頑張れ中国代表チーム。

2003年中国の野球にぜひ注目を。今年もよろしくお願いします。


BASEBALL in Panzhihua

うちの選手たちにとって、自分は2代目の日本人コーチ。自分が赴任する以前にやはり同じ青年海外協力隊員としてこの街の新しい野球の歴史を開いた男がいます。それが右の写真の冨田政行氏。彼は1999年12月〜2002年2月まで自分と同じように野球普及を行っていました。彼が赴任した当時この街の野球を取り巻く状況は最悪で、過去の栄光も今は昔、道具もなければ選手もいない。そんな状況の中で彼は選手探しから道具の手配まで気の遠くなるような作業を周さんとともにやり遂げ、かつチームを国内有数のレベルまで引き上げたのです。

この男、顔もちょっと怖いけど、選手に対しても非常に厳しくうちの悪ガキどもを完全に掌握。おかげで今でも彼に指導された選手たちはゲームマナーも非常に良く、中国のチームにしては珍しく礼儀正しいチームになりました。ただ野球を離れると彼らの良き兄貴分で、今でも選手たちは自分に彼の近況なんかを尋ねてきます。

 そんな功績もあって、彼が帰国する際の送別会は非常に素晴らしいものでした。副市長、教育局局長、体育局局長など市の幹部から、選手の親まで多数出席。しかも会が始まれば周さんは泣き出すし、選手もそして親まで泣いちゃう始末。日本人に対して依然として誤解やネガティブな感情が残る中国では異例のことだと思います。たった2年間という時間でここまで信頼関係を築くことができた彼を同い年でありながら自分は非常にリスペクトしています。

 翻って自分はというと、「会社は2代目で潰れる」とはよく言ったもので、前任が偉大だとプレッシャーも強力。しかも彼が2年間育て上げた選手たちで、去年夏の省内大会を勝てなかったもんだから自分を見る目も非常にシビアになった時期もありました。そんなこんなで野球の指導力では勝てそうにないから、活動のメインを方向転換し、自分はこうやっていそいそと広報活動に励んでいるわけです。

 この街の野球に自分がどんな貢献ができるのか、なかなか簡単に結果が出るものではありませんが、試行錯誤しながらも前任を見習いながら頑張っていこうと思っています。


チーム近況

年末からこの5日にかけて中学一年生を主体としたチームが香港に遠征に行ってきました。今回は自分や周さんは同行せず、普段チームを率いる機会が少ないコーチが引率。結果は6チーム中3位。実力から考えれば上々の出来。ただ出発前は資金確保からパスポートの手配まで準備がもう大変。特に毎回のことながら資金不足は深刻で、企業さんに援助していただいたり、親御さんにもかなりの額を負担してもらいました。また香港はもう中国に返還されたはずなのに、扱いはまだ外国と同じ(空港でも香港、マカオ線は国際線ターミナル)。だから他の地域への遠征よりも手続きも面倒で、本当に大変でした。

 でも四川の山奥に住む子達にとって、香港に行くなんて一生に一度あるかないかのこと。試合もそうですが、大都会香港を観て得るものは非常に多かったのではないでしょうか。

どもたちは非常に前向きに取り組んでくれています。


SPECIAL THANKS for Mommy !!

ここでちょっと感謝のコーナー。通信を書き出してから多くの人から「添付ファイルが見られねー!」とか「メールが重すぎるぞ!」などという温かい激励のお言葉を頂きました。ただ自分でHPを作るのも面倒だしとちょっと困っていたところ、北京在住の野口朋子さんから彼女のHP上でこの通信をUPしてもいいというお話を頂きました。彼女は北京日本人会野球同好会のマネージャー。自分が去年北京で合宿中や出張の際などにもお世話になっている方。ほんとに感謝感謝。ちなみに野球同好会の皆さんは野口さんのことをマミーと呼ぶ。北京で野球同好会のマミーはちょっと有名人。そんな彼女のHPには北京の観光スポットや裏情報などがたくさん掲載されています。「○球の歩き方」なんていう某ガイドブックよりはよっぽどいい感じ。北京情報を確認しつつ、この通信ものぞいてください。ちなみにバックナンバーも見ることができます。皆さんに支えていると強く感じる今日この頃であります。

アドレスはこちら    http://pengzi.maruzen.com/
  http://pengzi.maruzen.com/pengyou/baseball/index.htm

終わりに 

前々回も掲載しましたが右の写真は「週末キッズ」と呼んでいる小学校低学年や幼稚園のお子さまたち。まだまだ中国では野球人口が少なく、また環境もありません。スポーツにおいて技術などを一番吸収しやすいのは「ゴールデンエージ」と呼ばれる5〜12歳の頃。この時期に少しでも野球に親しんでいてくれると、大きくなったときの伸びしろも違ってくると思うんです。そこでうちのチームでは週末2日間彼らを呼んで一緒に野球してます。これは前任者の時からやっていることですが、自分自身非常に良い取り組みだと思っています。

強いチームを作ってゲームに勝つことも大切。でもそれ以上により多くの子どもたちが野球を楽しめる環境作りが重要だと考えています。Jリーグの100年構想じゃないですが、世代を超えて野球が中国に定着することを祈っています。

次回からは選手の紹介なども多く入れていこうと思っています。2003年もよろしくお願いいたします。

 

お願い

このメールに関してご意見ご感想をどしどしおよせいただければ幸いです。同時に現在我がチームではチームのPR活動に非常に力を入れております。ご迷惑でなければこの記事をお知り合い、ご友人にどんどん転送していただければと思います。重ねてよろしくお願いいたします。

ご意見、ご感想は 煤孫(すすまご)くんまで

 

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