北京に暮らして
 
29:息子の独り言

2003/01/13 

僕、アメリカより、中国が長くなっちゃった。
人生の半分以上が中国なんだ。

アメリカのことなんて、全然覚えていないし。
僕の覚えていることは、北京のことばっかりだし。

だけど、僕は、日本人で、アメリカ人なんだよね。

息子が突然、そんな事を言い出した。
私は一瞬、なんと返事をしたらいいのか分らなかった。

アメリカの話をすると、
アメリカを離れた当時2年生だった娘は、いろいろと覚えていて
それなりに自分の思い出話をする。
だけどまだ4才だった息子にとって、写真の中の思い出でしかない。

先日も、アメリカの博物館で、
わたしたちがよく行っていた博物館が紹介され ていたのを見て、
娘と一緒に盛り上がったけれど、
息子は「覚えていない」と いう。
あるグループのミュージックビデオで、
懐かしい風景が映った時にも、
娘と私は大騒ぎをしていたけれど、
息子はピンと来ない。

考えてみると、
子供達は、記憶のほとんどの時間を北京で過ごしている。
そんなことを改めて感じさせられた。
気がつくと、あんなにどうしようにもなかった息子の中国語も、
多少は通じるようになっている。

そう、3月で北京に来て満5年になる。

 
このコーナーは、Ojinさん主宰の≪WEB_熱線≫=市井から見た中国=というメールマガジンに掲載されたぽんずの雑文を転載しています。

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