2002年12月22日 No,1
 
世界中がワールドカップに沸いた2002年も残すところあとわずかとなりました。日本で年末の仕事に追われている人、また海外で異文化の中で頑張っている人、皆様お忙しいことと思いますがお元気でしょうか。さて今回からこの街の野球チームの活動状況なんかを通信感覚でみなさんにお知らせしていこうと思いつき、皆さんに送付させていただいている次第です。今までは個別にメールで連絡を取らせていただいていたんですが、もっとこの街の野球を皆さんに知ってほしい、そして最近メールの受信件数が少なくなった自分に返事でもくれないかななんて思いながら書いていこうと思っています。いつまで続くかわからないですが、何とか隔週くらいで発行できればと思っています。まずは第一号ということで今回は簡単に攀枝花の野球の現状等を書いてみようと思います。

BASEBALL in Panzhihua

ところで攀枝花(はんしか)ってどこだ?ってよく聞かれるんですが、はっきり言って中国人でもよく知らない人が多いです。要するに山奥。四川省の省都成都から電車で14時間のところ。だからどこかに行くときにも必ずこの14時間の電車に乗らなくてはいけない。とにかく中国の山奥。皆さん自分で地図見てください。

人口は約100万人、工業、鉄鋼業が街の主産業。近年インフラ整備が急速に進んできて、まさに中国の地方新興都市といった感じ。しかも最近、この街にケンタッキーフライドチキンができた。日本にいる人には実感がないかもしれないけど、中国に住む者にとって街に欧米系資本のファーストフード店があるかないかは結構大きな問題。これでマックができたらもう言う事なし。

ところでこんな山奥で野球なんかやってんのかってお思いの人も多いと思いますが、この街、野球に関してはちょっとすごいんです。国民の多くが野球の基本的なルールも知らない中国にあって、この街での野球の浸透度は特筆すべきものがあります。

この街で野球の歴史が始まったのは1970年代から。劉鋼先生という、後に中国の代表チームの監督も務めることになる人物がこの街で野球を始め、彼に育てられた選手たちは83年には全国大会で初優勝、84年には中国代表としてチーム全体で日本に遠征するくらいまで成長。この人、普段はただの酒飲みオヤジ(現在は天津在住)なんですが交友関係はかなりすごい。日本の偉い野球関係者はもちろん、LAドジャースの元オーナー、P・オマリーとかアイク生原さんなんかともグッドフレンドだったらしい。

その後低迷した時期もありましたが、この街の野球熱は冷めることなく若い世代に受け継がれています。

その原動力となっているのが右の周智華さん(以下周さん)。この人は今でも攀枝花の野球チームの責任者。ちょっと気が弱いところがあるけどそれもご愛嬌。周りに理解者が少ない中でも周さんは一生懸命頑張っています。

現在は彼の下で自分を含めた5人のコーチがチームを率いています。現在組織されているのは3チーム、中学生(16歳以下)のチーム【硬式ボール使用】、小学生(12歳以下)の野球チーム【軟式ボール使用】と中学生で組織する女子ソフトボールチーム。自分も一年前に中国に来てびっくりしたんですが、レベルはかなり高い。特に中学生の野球チームは国内トップクラスの実力。今年はじめの全国大会でも見事3位に輝きました。中には非常に優秀な選手もいて日本の高校でもすぐレギュラーになれるような子が3,4人います。贔屓目でなく彼らは本当にすばらしい。その証拠に彼らの記事が11月22日付けの朝日新聞一面に掲載されました。まだご覧になっていない方は図書館に行って急ぎ確認を。

ちなみにそれに先駆けて9月にはNHKで周さんの特集が30分間放送されました。道具も満足にない中で野球に情熱を傾ける周さんの姿をご覧になった方も多いのではないかと思います。

 資金面など問題点も多く抱えていますが、この街では確かに野球が文化として根付いています。2002年北京オリンピックにこの山間の街から代表選手が出て活躍してくれることがこの街の人々の希望になっています。

終わりに 

今回は簡単にこの街の現状について書きましたが、今後練習の様子や街の様子なんかについても書いていこうと思っています。

急速に成長を続けるこの国が野球でも世界を席捲する日が来るのか、今はまだ不透明な部分が多くなんとも言えませんが、非常に大きな可能性を秘めていることは間違いありません。

 写真の子どもたちがどんな成長を遂げてくれるか、自分自身も非常に楽しみにしています。

グラブもバットも満足にない中で子どもたちは毎日練習に励んでいます。今後彼らの奮闘ぶりを皆さんにお伝えしていきたいと思います。皆さんこれからもよろしくお願いいたします。

 

お願い

このメールに関してご意見ご感想をどしどしおよせいただければ幸いです。同時に現在我がチームではチームのPR活動に非常に力を入れております。ご迷惑でなければこの記事をお知り合い、ご友人にどんどん転送していただければと思います。重ねてよろしくお願いいたします。

ご意見、ご感想は 煤孫(すすまご)くんまで

 

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