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晴娘の伝説
昔、北京に晴娘という賢く、手先が器用な娘がいました。 晴娘は切り紙が得意で、彼女の評判は各地に知れ渡り、後宮のお后様にまでその名は聞き及び、内親王方も人をやって買わせるほどでした。
ある年の六月、大雨が降り続き、何日も晴れず、北京の城下には3尺もの水があふれました。 人々は香を焚き、頭を打ちつけ天に無事を祈りましたが、なんの効き目がありませんでした。 ある夜遅く、晴娘は崩れ落ちそうな屋根の上にすわり、神様に無事を祈りました。
そのとき突然、 「東海竜王からお前を王太子の妃にとの思し召しだ。 逆らえば、北京を水没させることになる」 という言葉が響きわたりました。
晴娘はみんなを救うために、天命を受けることを伝えると、一陣の強風が巻き起こり、晴娘の姿は消え、空は晴れ渡りました。
この後、人々は晴娘をしのび、お天気の悪い日が続くと、娘たちに紙を人型に切らせ、それを門に掛けるようになりました。 これが「掛掃晴娘(グワサオチンニァン)」...掃晴娘を掛ける習慣... の由来です。
北京傳統文化便覧・北京燕山出版社(1992年)より
2011/06/01
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