籍川笑林
火焼裳尾(すそに火がついた)
◇ とても気の長い男がいた。冬のある日、友人の男と囲炉裏を囲んでいた。 友人の男のすそに火がついた。 「しばらくまえから教えたいことがあったのだが、おまえは短気だしな。だからといって教えなければ大変なことになるしな。俺はどうすればいいかな?」 そこで友人の男は何事かと尋ねた。 「おまえのすそに火がついているんだよ。」 と男は答えた。 友人の男は急いで火を消して、怒っていった。 「ずっと前に気がつきながらなぜ早く教えなかったんだ」。 男は 「だからおれはいっただろ、おまえは短気だしなって。ほおらやっぱりそうだろ。」 |
2000/11/22