燕京雑考 目次>>中国の神様や伝説の人物・生き物

魔よけの鍾馗(しょうき ヂョンクィ)さま


端午の節句の魔よけの神様と言うと、日本でも幟などに描かれている鍾馗さまがいますが、皆さんは鍾馗様についてご存知ですか?

唐の時代、玄宗皇帝が病を患ったとき、武将が夢の中あらわれて、皇帝を苦しめていた悪鬼を退治しました。皇帝が尋ねると、生前は武挙(武人の科挙・国家試験)に応じたものの果たせず、自殺した鍾馗というものだとなのったといいます。死んだ後は、天下の妖怪を征伐すると誓いを立てたと。皇帝は目を覚ますと果たして病は治っていて、画家の呉道子に命じて、その像を描かせ、魔よけにしました。

その後、鍾馗は、家々の門に魔よけとして貼りつけられる「門神(メンシェン)」の一人となり、特に、端午の節句には、その絵が多く貼られました。

魔よけの神様として人気のある鍾馗は、京劇にも出てきます。「鍾馗、妹を嫁がせる」というお芝居です。あらすじをご紹介しましょう。

終南山の学徒・鍾馗は武挙のため都へ向いまたが、途中誤って鬼の住みかに入ってしまいました。
そこで醜い容貌に変えられてしまい、それが原因で武挙に及第できず、悔しさのあまり自殺してしまいました。
死んだ後天帝によって妖怪退治の将軍に任命された鍾馗は自分の墓を建ててくれた友人・杜平に感謝し、妹を嫁にやると約束、部下の妖怪達を引き連れて、花嫁行列をあつらえ、妹を杜平に嫁がせました。

というものです。人間味あふれる鍾馗だからこそ、魔よけの神様として人気があるのではないでしょうか。

画像は中国の剪紙の鍾馗

 


2001/05/03

中国の神様や伝説の人物・生き物<<燕都雑考 目次

オマケ...[ぽんずの家にある鍾馗様]

写真は、ぽんずの実家から長男の初節句にもらった鍾馗さまです。鍾馗の幟を掛け軸にしたもの。幅1mあります。

これは私がリクエストしたのですが、小さいころ、従弟の鍾馗様の幟がうらやましくてうらやましくて、男児を出産したときに両親に思い切ってリクエストしました。なんと製作者は従兄の友人だったらしいです....

アメリカ時代は吹き抜けの階段に上からドド~ンと飾っていたのですが、この写真は北京時代、なんとか飾る場所があったので、飾っていたときの写真です。中国の人たちはなぜに日本人が鍾馗?ととても不思議がっていました....

今は、大きすぎて、掛け軸として飾ることができないのが残念です。