ぽんずのTV出演騒動 2000年2月21日(日)

日記より

先週は忙しかった。というのは、テレビ番組の参加者を集めていたからだ。

「国際双行線」という国際理解の討論番組で参加者も質問を出したり意見を出したり出きる。北京電視台(北京テレビ局)では今回3つのテーマを準備。中国人をはじめ日本人の観衆を集めていた。

先週1週間をかけ、なんとか15名ほど集める事が出来た。ぽんずも、自分が声をかけた手前、とりあえず行ってみよう!とは思っていたが……

ところが収録の前日19日……「実は大変な事になったんだ!」という番組関係者からの電話が入った。
「『結婚後の女性』というテーマにゲスト出演してくれるようになっていた日本人女性が急遽キャンセルの連絡が入ったんだ。」……絶句……「なんとか代わりの女性を紹介してもらえないだろうか」……しばし沈黙……「そんなこと言っても今日は土曜日。そして収録は明日の午後6時よ。今から話してだれがOKすると思う?」「そう言わないでなんとか協力して欲しい。日本人女性で、家庭の主婦で、子供がいて、中国語が少しでもできる人」……その時ぽんずはこの条件に一番あっているのが自分であることはわかっていたが、そ知らぬ顔で「心当たりをあたるけど、あてにしないでね。」といって電話を切った。ある人に相談すべく電話をその後かけるが彼女は留守。ダンナに相談を持ちかける。ダンナの回答も芳しくない。

「心当たりがないわ!一人だけいるのだけど、彼女に話す前に、制作担当者から詳しく話し聞けない?」というところで出てきたのがこの番組の女性ディレクターだった。

「日本の女性は結婚したら仕事を止めるって聞いているけれど、中国人はその実態を良く知らない。国際婦人デー(3/8)を前にそう言ったないようの相互理解の番組を放送したいのです。今必要なのは日本人の、結婚していて仕事を持っていない女性、子供がいること、そしてできたら中国語ができる人……」

「私は子供がいるからいうけど、日曜日の6時から母親に参加してくれって言う方が無理だと思うの。私は誰にも声をかけられないわ!」……と言ったところで「しまった!」と思ったときには遅かった。
「そうそう、ぽんず、あなた出てくれない?あなただったら適役よ。家庭の主婦で子供もいて……中国語だって大丈夫じゃない。お願い。他に誰もいないのよ!」……こう言われては仕方がない。他の誰かに迷惑をかけるよりも、自分のダンナと子供に犠牲になってもらおうと心を決めたのでありました。

次の日。この日は二つのテーマの収録があり、2時からと6時から2時間ずつ収録される。友達を誘った手前、ぽんずは2時にスタジオに向かい、6時からの収録の参考に横から収録風景を見学した。隣では「結婚後の女性」のテーマのディレクターが自分の番組について比較しながら教えてくれる。

「結婚後の女性」ということで、日本にしばらく留学していた社会学の教授、結婚している女性起業家、そして日本の主婦の私がゲスト。事前に日本と中国で3家族の生活の様子を取材、そのビデオをはさみながら家庭の主婦、仕事を持った主婦の幸せなところ、また問題点などを話し合う。……というのが番組の内容だ。

収録前に、スタジオのメイクさんにお化粧を直してもらい、他のゲスト、司会者と顔を合わせる。呉教授は日本語が堪能なので、「中国語が出てこなくなったら通訳をしてあげるよ!」などといってくれる。司会者の女性は「ぽんずが名前なのね。あなたの中国語力なら私は同時通訳のイヤーホーンはつけないわ。大丈夫よ。なんとかなるって!」

 
  収録前の風景
私達ゲストは観衆の方に向かって座っている。知った顔がたくさんいるのは、自分で観衆を集めたのだから当たり前。しかしそのことが緊張感を高める事になってしまった。

椅子に座って2時間。休みもなく収録は続く。一台のカメラはゲストにずっと向けられているので変に体を動かす事も出来ない。ライトに照らされ暑いし、体も動かせないので次第に頭の中がぼ〜〜っとしてきた。こんな状態では中国語が頭の中にとどまらない……しかし容赦なく質問は私に向かってくる。


会場の様子(最前列に平田君と柿田君の姿が……)

なんとか収録は終わった。「うそつきMommy」といわれそうな模範の専業主婦の姿で私は発言していた。それは番組制作者の希望でもあった。終わってみれば、あんなことこんなことを言ってもよかったかな?といろいろと思うのだが、あの状態の中で、あれが精一杯だったと思う。

3月5日に放映されると言う話しだが、もっぱら友達には放映は絶対見ないように哀願している。

自分の中国語力のなさを改めて痛感した出来事になってしまった。……もっとまともな中国語が話せると、自分では思っていたのだけど(^^ゞ

<後日談>

忘れたころになったが、テレビ出演の「謝礼」が届いた。なんと金500元。日本円にすれば7,000円程度。中国の一般労働者にしてみれば大金だ。日本で70,000円以上の価値があるだろう。

これまた忘れたころに、「そうそう、テレビ見たわよ!」と住んでいるアパートの従業員に声をかけられることがある。その実、アパートの従業員の間では、けっこう話題になっていたと、一人の従業員が話してくれた。「あんな時間!」と思うような時間の放映だったが、見ていた人は多かったようだ。

 

 

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