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 1996/11


ハロウィンが終わり、残すところ今年の行事はサンクスギビング、ハヌカ、クリスマスとなりました。
 寒くなって街が寂しくなる頃のこれらの行事は街を華やかにしてくれます。
 でもそれもクリスマスまで。新年を祝う週間のないアメリカではクリスマスが過ぎると街が急に寂しくなってしまいます。
 冬はまだまだこれから。寒く、厳しい冬はまだ始まったばかりです。


言葉のこと

 よくみなさんから「陽子ちゃんと智くんはどちらの言葉で話すの?」という質問を受けます。今回はその質問にお答えしたいと思います。

 「私は学校では英語、おうちでは日本語だよね。」と陽子は英語でよくいっています。基本的にはその通り。アメリカのふつうの小学校に通っているので、学校では英語を話しています。家庭内では日本語が主ですが、英語の使用が次第に増えてきています。日本語を話す相手が両親に限られると言うことが、日本語の習得にとって大きなハンディーになっています。

 英語に関して言えば、毎日学校で使い、帰ってきても一歩外に出れば英語の環境です。テレビだってラジオだって英語。ぼっとしていても英語が耳に入ってきます。気がつかないうちに触れることが出来るのです。今、陽子は足し算引き算を英語で考えています。

 さて、姉弟喧嘩ですが、これは英語です。二人とも子供同士で使う言語は英語しか知らないのです。1歳でこちらに来た姉とこちら生まれの弟では無理もありません。子供同士の会話の中から覚えてきた英語での喧嘩に、私が割り込む隙はありません。止めるのに「やめなさい」といっても効き目はありません。なにを言うよりも「No!!」の一言が効果的です。渋々でもお互いに引き下がります。

 これから先の二人の言葉に関しては今のところ何とも言うことが出来ません。幼いうちに日本に帰ってしまえば英語はすべて忘れてしまうでしょう。それはそれで仕方のないことです。でも幼い頃身に付いた発音はずっと頭の中に残っていると言います。すべてを忘れてしまっても、将来「あなたの英語はミシガン訛りだね」と言われることがあるかもしれません。


英語の授業

 国語といえばこちらでは英語のこと。陽子も小学生ですからみんなと一緒に英語の授業を受けています。とはいえ陽子の家庭内使用言語が日本語のため、彼女の英語力は同級生におよびません。アメリカには陽子のような子どもたちがたくさんいます。

 陽子のような子どもといったのは「駐在員の子弟」という意味ではありません。「英語を母国語としない親を持つ子供」と言う意味です。移民を多く受け入れているアメリカではそういった子どもが多くいるため、その子どもたちへの英語教育にも力を入れています。

 「ESL」というクラスがあります。そのクラスは英語が第二言語になる生徒に英語を教える授業です。その授業を専門に受け持つ先生がどの学校にもいて、英語を教えてくれます。陽子を含め彼女のクラスでは3人がその授業を週に3回受けています。そのクラスで一定のレベルに達すると他の子どもと一緒の英語の授業を受けるようになるのだそうです。

 陽子はまだしばらくそのクラスにお世話になるようですが、そのあいだに英語の基礎をしっかりと身につけて欲しいと思っています。ちなみにそのクラスに通っているのは日本人の陽子とケニヤ人の女の子、そしてブラジル人の男の子だそうです。中国人の女の子は他の時間にその授業を受けているのですが、陽子の仲良しのお友達です。


選 挙

 日本でも選挙が行われ、アメリカでも大統領選(大統領選挙人選出選挙)が行われました。予想通りクリントンが再選を果たしました。

 日本では選挙というと日曜日に行われますが、こちらでは11月の第1火曜日が選挙の日になっています。カレンダーにも毎年この日は「選挙の日」とかかれています。

 日本人の私は、平日に選挙をして仕事、学校はどうなるかと思いましたが、平日の方が休日をつぶすよりも投票率が上がるかもしれません。投票には出勤前、退勤後にいくようです。ちなみにこの日学校は半日です。

 陽子も学校から子ども教育用の選挙のチラシをもらってきました。「私はこの人がいい」とクリントンの写真を指さしました。彼女には大きくなってもアメリカの大統領選に投票は残念ながら出来ませんが、選挙というシステムにとても興味を持ったようです。

 今回の大統領選の投票率は高くなかったようです。候補者に際だった違いがなかったせいかもしれません。選挙は終わったばかりですが、クリントンが立候補できない2000年の選挙に向けて、すでに次の戦いは始まっています。


サンクスギビング・感謝祭

 秋の終わりを告げるこの行事は、家族が集まる日なのだそうです。七面鳥の丸焼き、かぼちゃパイがこの日のごちそうです。

 アメリカ大陸にやってきた人たちが、最初の収穫を感謝して行ったお祭りを記念し、祝われるようになりました。七面鳥は新大陸の食用の鳥、かぼちゃは当時果物代わりの野菜だったそうです。

 この日は街の大通りでパレードが行われます。高校生のバンド、オープンカー、大きな山車がパレードに参加します。そして、サンタクロースがご挨拶。クリスマスが近いことを告げてパレードは幕を閉じます。

 北国のミシガンではこの日雪がちらつくこともあります。そしてこの日を境に、街は秋の色オレンジから、クリスマスの色緑と赤に装いを変えていきます。


本の紹介

The Story of Little Black Sambo
ちびくろサンボのお話

 朝日新聞に「ちび黒サンボ」の復刊についての意見がでていました。私はこの本を2年前に買ったのですが、残念ながらいつ発行されたものか、又いつ印刷されたのかわかりません。

 私がこの本を買ったのは、日本では絶版になってしまったということ、そして遵守差別にうるさいアメリカではまだ売られているということに驚いたからです。私は小学校の時に教科書で読み、とてもおもしろく思ったことを覚えています。

 私の買ったこの本は「アメリカ版」となっていますが、お話も挿し絵もイギリス人の作者のものです。そして私も最近まで気がつかなかったのですが、このお話はインドのお話なのです。そうです、アフリカに虎はいません。

 いろんな論争はぬきに、とてもおもしろいお話だと私は思います。

作者:Hellen Bannerman
出版:Harper Collions


 ミシガンメモ

 冬のスポーツといえばなんといってもボーリング。テレビ中継もよくやっています。

 デトロイトにはなんと他の都市の3倍ものボーリング場があるとか。

 子供向けのレッスンもあり、自分のシューズ、ボールを持っている子も少なくありません。

近況

HIRO: パソコン通信に熱中

TOMOKO: 頭の中はクリスマスカード

YOKO: 6歳になりました。

IAN: さむいのきらい!!


後記:今回は、あれもこれもと欲張ってしまいました。
子どもの言葉については、
皆さんの疑問にお答えすることが出来たでしょうか。
陽子はこの頃お友達から中国語を習ってきます。
外国語がとても身近にあることを感じています。
 向寒の折、ご自愛くださいませ。       朋