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ともちゃんの中国旅行記・北京抜粋編!-1 1998年9月16日〜19日
著者紹介は、旅行記-4の一番最後にあります)


さて、いよいよ、長々と書き連ねてきた旅行記も最終ラウンド。懐かしい北京の地へと戻ってまいりました。そう言えば、ここは、鄭州や開封の話でなくって北京の話を書くところだった(^^;。やっと本題にたどりつきました……

佐藤姐姐も私も北京は三度目。私は初めて来たときにお気楽な学生生活を五週間送り、たいがいのメジャーな観光スポットは見てしまいました。今回は二人とも、力いっぱい観光しようという気分にはなれず、ゆったりと怠惰な日々を過ごしました。

リピーターとはいえ、久しぶりに見る北京は、まるで別の街のようでした。午前七時過ぎに北京西駅に着いた我々は、まず、駅構内のタクシー乗り場から、予約してある松鶴大酒店に行くことにしました。お上りさんだらけの駅ですが、ここでも飛行場と同様、正規のタクシー乗り場の列に並べばまともなタクシーに乗ることができます。

轡田さんにご紹介頂いた雑誌「新週刊」によれば、北京のタクシーは、値段が車種により異なり、アウディが初乗り14元、一キロ2・5元。以下、サンタナ2000・ニッサン・トヨタ・マツダ・皇冠・紅旗が初乗り12元、キロ2元。沃er沃・サンタナ・富康・jie達が初乗り11・2元、キロ1・8元。夏利・拉達が初11・4元、キロ1・6元。波羅乃(慈−心)が初9・6元、キロ1・4元。中華子弾頭が初8・8元、キロ1・2元。「小面」は初乗り10元、キロ一元(これって面的ってことでしょうか?)。近く「小面」以外のタクシーが一斉に値下げされるそうです。キロ1・4−1・6元が1・2元に、1・8−2・0(サンタナ2000以外)元が1・6元に、2・5元以上は2元になるそうで、初乗りは一律十元になるとのこと。

この「小面」が面的かどうかはわからないのですが、面的というのはワゴン型で黄色い、パン(面包)のような形をしたタクシー(的士)です(これまで何の説明もなく文中に出してしまいました。わからなかった方、ごめんなさい)。安いので重宝がられています。安いだけあってきれいな車輌は滅多に見かけません。ドアが開かなかったり閉まらなかったりは日常茶飯事。ライトが片方壊れていたり速度計が死んでいたりするのも珍しくありません。ただ、メーターはたいがいついているので、意外に安心です。ところが、来年、面的は政策により姿を消してしまいます。「安っぽくて首都にふさわしくないから」てなうわさを聞いたのですが、これはホントでしょうか?

新週刊によれば、最近、タクシー業界が飽和状態になってきて、昨年来、白タクがどっと増え、合法的タクシーの経営を脅かしているそうです。白タクの見分け方は、メーターや空車マークはあったりなかったりするので、決めてはどうやらナンバーが「京B」かどうか(違うと白タク)、フロントガラスのところに公安局タクシー治安管理係の登録証があるかどうか(ないと白タク)、というところのようです。北京でタクシーをお使いになる際は、ちょっと気をつけてみてください。といっても、今考えれば我々も登録証なしの車に時々あたりました。基本的にメーターがついている車で、一人必ず助手席に乗れば、そうカリカリする必要はないのかも。初めてお乗りになる方は、発車時に運転手がフロントガラスのところの「空車」ライトを倒すのをしっかり確認してください。倒した時点で料金メーターが動き出します。

さて、我々です。
北京西駅は街の南西にあります。このあたりは以前来たときは、確か、ほとんど何もなかった記憶があります。ところが、車窓にはゆけどもゆけども高層ビルがずらり。運転手によると、ここ二、三年で続々と開発された地域だとのことです。そして、朝のラッシュ時だったこともあってか、車で道が渋滞していました(以前は自転車が原因だった…)。首都高なみに詰まってしまい、ホテルまで一時間以上、五十元ほどかかってしまいました。

「最初に北京に来たときはファーストフードなんてケンタッキーが三つしかなかったんだよ」といったら、「今はマクドナルドの方がたくさんあるよ」とのこと。確かにそこら中にありました。それどころか、ダンキンドーナツやピザハットもあります。でも運転手さんいわく「たまに食べるならいいけどねえ……」。ものめずらしさが一段落すると、やっぱり中華料理の味にはかなわないようです(^^;。
北京飯店の南にきらびやかな建物がありました。運転手さんによれば、これは娯楽城、高田馬場のビッグボックスみたいなものでしょうか(なんちゅうローカルな説明^^;)。月極入場料が何と一千元(つまり会員制なんですね)というから驚きです。「だれが行くの!?」と聞くと「一般人は相変わらず金がないが、今の北京は、金があるやつはあるんだよ」とのお返事。大学生でも金もうけに知恵を絞り、普通の女子大生でホステスのバイトをする人もいるそうです。こりゃ日本の方がよっぽど社会主義じゃないの。運転手さんは「北京はもう社会主義は卒業したの」と笑っていました。
北京に着いたのは九月十六日だったのですが、この二日前、楊尚昆が亡くなりました。運転手さんに新聞を見せてもらって初めて知りました。「ひゃーー」と驚く我々に、彼は「何だ、悲しいのかい」とあっさり。毛沢東が死んだときには泣いた市民も、今ではほとんど泣かないそうです……まあ楊尚昆じゃ泣かないか(^^;コンの漢字、これでよかったかなあ……ひゃーごめんなさい)
天安門広場では、国慶節の準備で天安門や人民大会堂に足場が組んでありました。今年は中華人民共和国49歳、来年で50歳です。

王府井の入り口は、まだ東方広場の工事が終わっておらず、殺伐とした雰囲気でした。工事区間はかなり広く、新東安市場の手前まで及んでいます。まあほこりっぽいことといったらたまりません。北京の人も、ここだけはタオルを口に当て、顔を顰めて通っていました。そうこうするうちに、やっと、タクシーはホテルにたどり着きました。
我々が予約したホテル・松鶴大酒店は、王府井と灯市口の交差点にあります。この辺は昔は王府井の北の外れに近かったのですが、今は上記の通り、南側を工事しているため、一番の繁華街。外資系とみえるデパートや高級ホテル、オフィスビルなどが立ち並んでいます。香港ブランドなんかも入っていて、佐藤姐姐、ぽつりと「何か香港みたい」。そう、北京は香港になりつつあるようです(ところにより、ですが……)。ホテルの目の前にバス停「灯市西口」があるので、非常に便利です。ツイン一泊13700円。九月は北京の観光シーズンなので、ホテルは高値に設定してあります。オフシーズンならもっと安く泊まれるはず。三つ星です。

ホテルの部屋に荷物を置いて、さあ動こう!……というわけにはゆかず(^^;、ベッドに腰掛けた二人はそのまま、ぐーーーーと寝てしまいました。昼前に活動開始。昼ご飯を食べて、やっぱり行かなきゃ北京に来た気がしない、故宮へバスで向かいます。灯市西口から、故宮の裏の入り口までバスで一本、五角。久々の故宮は、すっかり観光地として進化していました。入場料の二重料金は廃止されたようで、三十元に統一されています。中にある珍宝館や時計館などの切符がセットになったチケットは五十元だったと思います。我々は、時間がないこともあり、三十元の門票で入りました。

中央を抜ける一般的なコースはひとまず置いて、今回は、脇の青銅器展示室などをじっくり見ました。珍宝館(五元)はもしかして新しく開放した区域にうつったのかな? 靴の上からスリッパを履かされました(要返却のスリッパ二元^^;)。その奥に、静かで小ぢんまりした素敵な庭園と、寄せ木の細工が見事な建物がありました。これは新発見。
わーいわーいと見ていると、あっという間に閉館時間が……午後四時半なんですね。早い。紫禁城の中の方から順々に門を閉めきり、観光客を手際よく追い立ててゆきます。せっかくなので、大急ぎで午門側に抜けることにしました。
皇帝だけが使える紫禁城の黄色い瓦に、西に傾きかけた日が照り映え、これまで見たことがなかったほど故宮はきれいでした。なるほど黄色い瓦を皇帝だけに許したわけがわかります。夕日に照らされると、それは黄金そのものなのです。黄金の瓦を頂く宮殿……何と豪勢なことでしょう。滅多に撮影できない「だれもいない太和殿」をカメラにおさめました。ばかばかしいほどの大きさ、見るものを威圧する厳めしさが、無人であるだけに際立って迫ってきます。草が生えた黄金の瓦の周りを、からすが何羽か群れ飛んでいます。豪壮で、壮麗で、これでもかと権力を誇示して、そして恐らくとても住みにくい屋敷だったであろう故宮。何度でも見に来たいけれど、ここに住みたくはないな……と、ふと感じました。

以前、見に来たとき、故宮の中に食べ物を売っている店がなくて往生したことがあります。しかし、今回は、いたるところに軽食屋が店をだしていました。土産物もずいぶん多様になりました。各種ティーシャツ、食器類、文房具などなど。橋本首相が夫妻で訪中した折、ここの土産物屋で、夫人が刺繍入り絹のハンカチをしこたま買っていったのだそうです。「何で日本人はあんな非実用的なものが好きなの?」と、店員のお姉さんに真顔で聞かれて困ってしまいました(^^;。「どうやって使うの? 飾るの?」そう。飾るんじゃないかな……軽いし、友達に配るにはちょうどいいんじゃないのかな……などと答えましたが、絹のハンカチって、もしかして日本人に特徴的なお土産なのかしら。午門の側には、どこの国のものだかわからないエスニックなお土産やさんがたくさん、軒を連ねていました。

そうそう。この日、お昼ご飯を食べた、王府井の香港美食城というレストランは、はっきり申し上げまして大外れでした。昼間から二人で百二十元もした上に、おいしくなーい。香港で働いた経験がある佐藤姐姐は「香港人が許さないわよ!」と激怒しておられました。ここはガイドブックでみて入ったのですが、これにこりて、残りの日程は動物的本能で(^^;、おいしそうで安そうな店を探すことにしました。その方があたる確立は高いようです。一人二十数元出せば、おいしいものをお腹一杯食べられました。


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(c)中国歴史・習慣・風俗の雑記帳「ぽんずのページ」2009


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