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☆ 高考
この時期(毎年6月)になると、新聞には「高考(ガオカオ)」という言葉が見られるよう になる。
「高考」とは、全国高等院校招生統一考試(考試=試験、高等院校は 大学などのこと)日本でいうなら全国共通大学入学試験というわけだ。9月に新学年が始まる中国では、この季節が年度末。
入学試験が話題になるのはこの時期からだ。特に今年は、テストが1ヶ月ほど前倒しになり、6月に試験が行われることに なった。
(7月では暑過ぎるということで)
それだけでも受験生も親も落ち着かなかったところに、新型肺炎の騒ぎ。
延期する、中止になる……などなど噂は後をたたなかった。「今年から6月なんていって、まったくこの騒ぎ、ついてないわねぇ。」
と李華さん。
優雅に言っていられるのも、すでに娘さんが大学生だからだ。
2年が経って過去のことになっている。
しかし、娘さんの「高考」の年なんて、このままでいったら心配のあまり倒れ てしまうのでは……とまで思うぐらい、彼女も落ち着かない毎日を過ごした。「今の大学生の親は、みんな文化大革命で勉強できなかった世代だから、
自分たちの経験も何もないし、どうにもしようがないのよね。」李華さんは、頭のよい人だ。
お兄さんが清華大学という理工系の最高峰大学出身だし、
時代が時代だったら、李華さんも大学に進んでいたに違いない。
でも、彼女は文化大革命の時代に大学受験期を迎えてしまった。 そして勉強の機会を失ってしまった。「高考」は二日間のテストだ。
テスト会場の高校の門の前では、暑さにも負けず、
子供を送って、そして試験の終了を待つ親達の姿がたくさん見うけられる。
テスト前には、新聞に「高考」メニュー、快眠指南などなど
受験生の親向けの特集記事が満載となる。
李華さんも、毎日そういう記事やテレビ番組に注目していたと言う。
「もしかしたら、子供よりも私のほうが過敏になっていたと思うわ。」
彼女はそのころを振り返って、そう言う。「私は終わったけれど、今年の受験生の親のことを考えると、
ほんと、自分までが不安になるわ。こんな年にあたってしまって…
延期になるとか、中止になるとか言っているけど、
延期は、緊張している期間が長くなるし、
中止は、どんな選抜になるの?というのがあるから、
どうなるのかしらね。」そんなことを李華さんが話してくれていた。
そして「高考」は予定通り行われる事が発表になった。
新型肺炎で隔離対象になっている受験生に対しては、
隔離対象者用の特別受験室を設けるらしい。「非典型特番、「高考」電話相談」なる番組があった。
テストまであと1ヶ月を切っている。2003/05/16
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(c)中国歴史・習慣・風俗の雑記帳「ぽんずのページ」2009