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☆ 「非典」の中での生活


日本でも報道された、パニック状態からようやく抜け出したかに見える北京。
新型肺炎(SARS)の中国語の言い方「非典型肺炎」略して「非典(フェイディエン)」は一種の流行語になりつつある。
はてさて、そんななか李華さんはどんな生活をしているのだろうか。

「近所の繁華街も人がいないのが違うぐらいで、なにも違わないわよ。」
というのが最初の言葉。
「そうね、市場に行くときはマスクをするぐらいかしら。
 でも、最近暑いしね。マスクをしているのが鬱陶しいわ。」
 でも皆がしているから、私がしなくてもね……なんて思ったりもするわ。」

「どこに行っても人がいないでしょ。
 いつもなら大行列の銀行も、待たないですむのよ。
 窓口の行員さんが暇そうにおしゃべりしていたわ。」
これが李華さんが教えてくれた彼女の家の近くの様子。

また李華さんのような前にも紹介した四合院に住んでいる人達は
そとの公衆トイレを使うのだけれど、頻繁に消毒が行われているらしい。

「これだけ毎日報道されているけど、身近に感染者が出たって言う人いないのよね。
 市内の地域ごとの感染者数、あれ見てもわかるけれど、偏りがあるのねたぶん。
 ニュースではあそこが隔離、ここが隔離……っていっているけれどねぇ。」

それは私も思っていた。
大学時代の友達も同じことを言っていた。
そして「ほんとうに北京の話なのか時々不思議になる」と。

「でもね、外で遊ぶ子供の姿を見なくなったし……
 こんなにお天気が良いのにね。」
危ないからと、子供達は外にも出してもらえないようだ。
学校も休校、外でも遊べない子供達は、家の中でコンピュータゲームなどをしているらしい。 小さい子供達はまだしも、受験を控えている学年の子供達にとっては大変な事だ。

「7月だった大学共通入試(中国語では略称高考)を6月にして、
 その挙句これだものね……。これで延期なのか、中止なのか……。
 どちらにしても大変よね。」
そんな話もしてくれた。

あれやこれや、心が荒んでしまうようなニュースばかりだけれど、
ある日、李華さんがこう言った。
「このアパートに入ってくるとき、毎日検温があるんだけど
 ところが32度ですって(笑) 測りなおしたら36.6だったけど。」

笑いながらそう言う彼女をみていて、ようやくパニックから抜け出し、冷静に
対処しようとする段階になったのだなぁと、そんな風に感じた。
まだまだ終結までは遠いのかもしれないけれど。

2003/05/09

 

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(c)中国歴史・習慣・風俗の雑記帳「ぽんずのページ」2009